ダックスフンドのデンタルケア|歯周病予防と自宅でできる歯磨き方法

ダックスフンドのデンタルケア|歯周病予防と自宅でできる歯磨き方法

ダックスフンドラボ編集部読了時間: 13

愛犬の口臭が気になったことはありませんか。「犬だから口が臭いのは仕方ない」と思っている方も多いかもしれませんが、実は口臭は歯周病のサインであることがほとんどです。アメリカ獣医歯科学会(AVDC)によると、3歳以上の犬の約80%が何らかの歯周疾患を抱えているとされています。そしてダックスフンドは、その口腔構造上、歯周病になりやすい犬種のひとつです。

歯周病は口の中だけの問題ではありません。進行すると細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓・腎臓・肝臓に影響を及ぼす可能性があることが、複数の獣医学研究で示されています。この記事では、ダックスフンドの飼い主が知っておくべきデンタルケアの基礎知識から、自宅でできる歯磨きの方法、デンタルグッズの選び方、動物病院でのプロケアまで、包括的に解説します。

ダックスフンドが歯周病になりやすい理由

ダックスフンドをはじめとする小型犬は、大型犬に比べて歯周病のリスクが高いことがわかっています。2019年に Journal of Veterinary Dentistry に掲載された研究では、小型犬種は大型犬種と比べて歯周病の罹患率が約1.5倍であると報告されました。その主な理由は以下のとおりです。

歯が密集した口腔構造: ダックスフンドの顎は体のサイズに対して比較的小さいにもかかわらず、歯の本数は大型犬と同じ42本です。そのため歯と歯の間隔が狭く、食べかすや歯垢が溜まりやすい構造になっています。歯垢は24〜48時間で歯石に変化するため、小さな隙間に入り込んだ汚れは短期間で硬い歯石となり、自宅のケアだけでは除去できなくなります。

唾液量の問題: 小型犬は大型犬と比べて唾液の分泌量が少ない傾向にあります。唾液には口腔内の細菌を洗い流す自浄作用がありますが、唾液が少ないとその効果が弱くなり、細菌が繁殖しやすい環境になります。

食事の影響: ダックスフンドは食欲が旺盛で、おやつをもらう機会が多い犬種です。柔らかいウェットフードやおやつは歯の表面に付着しやすく、歯垢の原因になります。

歯周病の症状と進行段階

歯周病は段階的に進行し、早期発見が治療の鍵を握ります。愛犬の口腔内を定期的にチェックし、以下の症状がないか確認しましょう。

ステージ1(歯肉炎): 歯茎がやや赤みを帯び、軽い腫れが見られます。この段階では歯を支える骨や組織にはまだダメージがなく、適切なケアで完全に回復可能です。口臭が少し強くなることがあります。

ステージ2(軽度歯周炎): 歯茎の赤みと腫れが顕著になり、歯磨きの際に出血することがあります。歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が25%以下の範囲で始まっています。口臭がはっきりと感じられるようになります。

ステージ3(中等度歯周炎): 歯槽骨の吸収が25〜50%に達し、歯がぐらつき始めます。歯茎から膿が出ることもあります。食事の際に痛みを感じ、硬いフードを避けるようになったり、片側だけで噛んだりする行動が見られます。

ステージ4(重度歯周炎): 歯槽骨の吸収が50%を超え、歯の脱落が起こります。激しい痛みにより食欲が低下し、体重減少につながることもあります。この段階では抜歯が必要になるケースが大半です。

飼い主が気づきやすいサインとして、「口臭がきつくなった」「よだれが増えた」「フードを食べにくそうにしている」「口の周りを触られるのを嫌がる」「くしゃみが増えた(上顎の歯周病が鼻腔に影響するため)」などがあります。ひとつでも当てはまる場合は、早めにかかりつけの動物病院で口腔内の検査を受けましょう。

自宅での歯磨き方法|慣らし方と手順

歯周病予防の最も効果的な方法は、毎日の歯磨きです。しかし、いきなり歯ブラシを口に入れると犬は強いストレスを感じ、歯磨きが嫌いになってしまいます。焦らず段階的に慣らしていくことが成功の秘訣です。

ステップ1:口の周りに触れることに慣らす(1〜2週間)

まずは口の周りを触ることから始めます。リラックスしているときに、口の横や顎のあたりを優しくなでましょう。嫌がらなかったらおやつを与えて褒めます。慣れてきたら唇をめくって歯や歯茎を見る練習をします。この段階では歯ブラシはまだ使いません。

ステップ2:指で歯に触れる(1〜2週間)

犬用歯磨きペーストを指先に少量つけ、犬にまず舐めさせます。味に慣れたら、ペーストをつけた指で前歯や犬歯を軽くこすります。奥歯は嫌がりやすいので、最初は前歯だけで十分です。1回の練習は30秒程度にとどめ、終わったら必ず褒めておやつを与えましょう。

ステップ3:ガーゼや指サックで磨く(1〜2週間)

濡らしたガーゼや犬用の指サック型歯ブラシを使って、歯の表面をやさしく拭きます。歯と歯茎の境目(歯肉縁)を意識して、円を描くように動かすと効果的です。

ステップ4:歯ブラシを導入する

犬用の小さなヘッドの歯ブラシを使います。ダックスフンドは口が小さいため、超小型犬用のヘッドが小さな歯ブラシが適しています。ブラシに犬用歯磨きペーストをつけ、歯と歯茎の境目に45度の角度でブラシを当て、小さく円を描くように磨きます。

磨く順番は、嫌がりにくい前歯や犬歯から始め、徐々に奥歯(臼歯)へ進めます。特に上顎の奥歯は歯垢がたまりやすいため、重点的に磨きましょう。歯の外側(唇側)だけでも効果がありますが、可能であれば内側(舌側)も磨きます。

重要な注意点: 人間用の歯磨き粉は絶対に使わないでください。キシリトールやフッ素など、犬にとって有毒な成分が含まれています。必ず犬用の歯磨きペーストを使用してください。犬用ペーストはチキンやビーフなど犬が好むフレーバーがついており、すすぎが不要で飲み込んでも安全に設計されています。

ビルバック C.E.T. 犬用歯みがきペースト チキンフレーバー 70g

ビルバック C.E.T. 犬用歯みがきペースト チキンフレーバー 70g

獣医師推奨の犬用歯磨きペースト。独自の酵素(C.E.T.デュアルエンザイムシステム)が歯垢の形成を抑制します。チキンフレーバーで嗜好性が高く、多くの犬が抵抗なく受け入れてくれます。すすぎ不要で手軽に使えるのもポイントです。

歯磨きの頻度と最適なタイミング

理想的な歯磨き頻度は毎日1回です。歯垢は食後6〜8時間で形成が始まり、24時間以内に石灰化して歯石へと変化します。そのため、毎日歯垢を除去することが歯石の蓄積を防ぐ最も確実な方法です。

ただし、毎日が難しい場合は、最低でも週に3回を目指しましょう。獣医歯科の専門家によると、週3回以上の歯磨きで歯周病の進行を有意に遅らせる効果が確認されています。

歯磨きのタイミングは、犬がリラックスしている夜の時間帯がおすすめです。散歩の後や遊んだ後など、適度に疲れて落ち着いている状態のほうがスムーズにできます。食後すぐでなくても問題ありません。大切なのは、毎日同じ時間に行って習慣化することです。

1回の歯磨きにかける時間は2〜3分が目安です。すべての歯を完璧に磨こうとして長時間拘束すると犬が嫌がるようになるため、短時間でさっと済ませるほうが長期的に続けやすくなります。

デンタルガム・おもちゃの活用法

歯磨きの補助として、デンタルガムやデンタルおもちゃも有効です。ただし、これらはあくまで補助的な手段であり、歯磨きの代わりにはなりません。

デンタルガムの選び方

デンタルガムを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

VOHC認定マークを確認する: VOHC(Veterinary Oral Health Council / 米国獣医口腔衛生協議会)は、歯垢や歯石の軽減に科学的に効果があると認めた製品に認定マークを付与しています。このマークがついた製品は、独立した試験で効果が実証されています。

適切なサイズを選ぶ: ダックスフンドには超小型犬用〜小型犬用のサイズが適しています。大きすぎるガムは顎に負担がかかり、小さすぎるガムは丸飲みの危険があります。

硬すぎないものを選ぶ: 蹄や骨など極端に硬いものは歯の破折(はせつ)の原因になります。爪で表面にへこみがつく程度の硬さが安全とされています。

原材料を確認する: 消化性が高い原材料で作られたものを選びましょう。人工着色料や防腐剤が多いものは避けるのが無難です。

グリニーズ プラス 成犬用 超小型犬用 2-7kg 60本入

グリニーズ プラス 成犬用 超小型犬用 2-7kg 60本入

VOHC認定のデンタルガム。独自の弾力ある噛みごたえで、噛むたびに歯垢や歯石の蓄積を軽減します。総合栄養食としての基準も満たしており、おやつとしてだけでなく栄養補給としても安心。ダックスフンドに適した超小型犬用サイズです。

デンタルおもちゃの活用

ロープ状のおもちゃやゴム製のデンタルトイは、噛むことで歯の表面の汚れをこすり取る効果があります。ただし、使い古してほつれたロープは繊維を飲み込む危険があるため、定期的に新しいものに交換しましょう。

動物病院での歯石除去(スケーリング)

自宅ケアでは取り除けない歯石は、動物病院での専門的な処置が必要です。

スケーリングとは

スケーリングとは、超音波スケーラーやハンドスケーラーを使って歯石を除去し、歯面を研磨(ポリッシング)する処置です。犬の場合は全身麻酔下で行います。口腔内を隅々まで確認でき、歯周ポケット内の歯石も確実に除去できるため、最も効果的な歯石除去方法です。

なぜ全身麻酔が必要なのか

犬は口を長時間開けた状態を維持できず、痛みや恐怖で動いてしまうため、安全に処置を行うには全身麻酔が不可欠です。「無麻酔歯石除去」を行う施設もありますが、AVDC(アメリカ獣医歯科学会)やJVDA(日本小動物歯科研究会)は無麻酔での歯石除去を推奨していません。無麻酔では歯冠部(見える部分)の歯石しか取れず、歯周ポケット内の処置ができないこと、犬に強いストレスを与えること、処置中のケガのリスクがあることが理由です。

スケーリングの頻度と費用

スケーリングの頻度は犬の口腔内の状態によりますが、一般的には年に1回の検査と、必要に応じた処置が推奨されます。費用は動物病院によって異なりますが、麻酔前検査を含めて2万〜5万円程度が相場です。抜歯が必要な場合は追加費用がかかります。

定期的な自宅ケアを行っていれば、スケーリングの頻度を減らし、処置にかかる費用も抑えることができます。

歯に良い食事の選び方

毎日の食事も歯の健康に影響します。以下のポイントを意識して食事を選びましょう。

ドライフードを基本にする: ドライフードは噛む際に歯の表面をこする効果があり、ウェットフードに比べて歯垢がつきにくい特徴があります。ウェットフードを与える場合は、食後のデンタルケアをより丁寧に行いましょう。

デンタルケアフードを検討する: 一部のドッグフードメーカーは、キブル(粒)のサイズや形状を工夫し、噛んだときに歯の表面をこするように設計した「デンタルケアフード」を販売しています。VOHC認定を受けたフードもあるため、歯周病が気になる場合は選択肢のひとつになります。

おやつの与え方を見直す: 柔らかいジャーキーや人間の食べ物のおすそ分けは歯に付着しやすいため、控えめにしましょう。おやつを与える場合は、デンタルガムなど歯の健康にもプラスになるものを選ぶと一石二鳥です。

水分補給を忘れずに: 十分な水分を摂取することで唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が高まります。常に新鮮な水を飲める環境を整えておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 子犬のときから歯磨きは必要ですか?

はい、乳歯の段階から歯磨きの習慣をつけることが非常に重要です。子犬の乳歯は生後4〜6ヶ月頃に永久歯へと生え変わりますが、この時期に歯磨きに慣れておくと、成犬になってからもスムーズにケアが続けられます。特にダックスフンドは乳歯遺残(乳歯が抜けずに永久歯と並んで残る状態)が起きやすい犬種でもあるため、早い段階から口の中のチェック習慣をつけておくことが、乳歯遺残の早期発見にもつながります。

Q. 歯磨きを嫌がって全然させてくれません。どうすればいいですか?

まずは歯ブラシを使わず、犬用歯磨きペーストを指につけて舐めさせるところから始めましょう。ペーストの味を「おいしいもの」として認識させることが最初のステップです。口の周りに触れる練習から段階的に進め、1回の練習を短く(10〜30秒)して、必ずご褒美で終わるようにします。無理やり押さえつけて磨くのは逆効果です。どうしても難しい場合は、デンタルガムやデンタルジェル(塗るだけで効果があるタイプ)を併用しながら、少しずつ慣らしていきましょう。動物病院やドッグトレーナーに相談するのも良い方法です。

Q. デンタルガムだけで歯周病は予防できますか?

デンタルガムは歯垢の蓄積を軽減する効果がありますが、歯磨きの代わりにはなりません。デンタルガムは主に噛む面の歯の清掃に効果的ですが、歯と歯茎の境目や歯と歯の間の歯垢を十分に除去することはできません。歯磨きをメインのケアとし、デンタルガムはあくまで補助的な手段として位置づけてください。歯磨きとデンタルガムを組み合わせることで、より効果的な歯周病予防が可能になります。

Q. 愛犬の口臭がひどいのですが、すぐに病院に行くべきですか?

強い口臭は歯周病がかなり進行しているサインの可能性があります。特に「腐ったような臭い」や「生ゴミのような臭い」がする場合は、歯周組織の細菌感染が進んでいるおそれがあるため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。口臭の原因は歯周病だけでなく、内臓疾患(腎臓病や糖尿病など)が原因の場合もあるため、獣医師による総合的な診察が必要です。

まとめ

ダックスフンドは口腔構造の特性上、歯周病のリスクが高い犬種です。しかし、適切なデンタルケアを日常的に行うことで、そのリスクを大幅に低減できます。

デンタルケアの基本は、毎日の歯磨きです。最初は嫌がる犬も多いですが、段階的に慣らしていけば、多くの犬が歯磨きを受け入れるようになります。歯磨きに加えて、デンタルガムの活用、ドライフード中心の食事、そして定期的な動物病院でのチェックを組み合わせることで、愛犬の歯の健康を長く守ることができます。

歯の健康は、食事・栄養摂取・QOL(生活の質)に直結します。小さな毎日のケアが、愛犬の健康寿命を延ばす大きな力になることを忘れずに、今日からデンタルケアを始めてみてください。

共有:

関連記事