ダックスフンドの子犬を迎えることは、飼い主にとって大きな喜びです。しかし、あの愛らしい姿に心を奪われるだけでなく、子犬期の育て方が成犬になってからの健康と性格を大きく左右することを忘れてはいけません。特にダックスフンドは、胴長短足という独特の体型から、他の犬種以上に配慮すべきポイントがあります。
この記事では、ダックスフンドの子犬を迎える前の準備から、食事管理、トイレトレーニング、社会化の方法まで、時期別に詳しく解説します。初めてダックスフンドを飼う方にも、すでに飼育経験がある方にも役立つ情報をまとめました。
迎える前の準備|必要なグッズと環境づくり
子犬を迎える前に、安全で快適な環境を整えておくことが重要です。当日になって慌てないよう、以下のアイテムを事前に用意しましょう。
必須アイテムリスト
サークル・ケージ: 子犬の安全な居場所として、サークルは必須です。トイレスペースと寝床を分けられるサイズ(90cm×60cm以上)を選びましょう。ダックスフンドの子犬は好奇心旺盛で、目を離すと部屋中を探検して危険なものを口にする可能性があります。サークルは「安心できる自分だけの場所」として機能し、留守番やトイレトレーニングにも欠かせません。
トイレ用品: ペットシーツとトイレトレーを用意します。メッシュ付きのトイレトレーは、子犬がシーツを噛んで誤飲するのを防げるためおすすめです。
フード・食器: ブリーダーやペットショップで食べていたのと同じフードを用意するのが基本です。急にフードを変えると消化不良を起こすことがあります。食器は安定感のある陶器製やステンレス製が適しています。
給水器: ノズル式の給水器かウォーターボウルを用意します。子犬のうちはボウルの水をひっくり返すことがあるため、ケージに取り付けるタイプも便利です。
ベッド・毛布: 子犬が安心して眠れるよう、柔らかいベッドや毛布を用意します。ブリーダーの匂いがついた布があれば持ち帰ると、新しい環境でも安心しやすくなります。

リッチェル ペット用 お掃除簡単サークル 90-60
スライドトレー付きで掃除が簡単なペット用サークル。90cm×60cmのサイズはダックスフンドの子犬に最適で、トイレスペースと寝床を分けて使えます。ワンタッチで開くスライドドア付き。
安全な環境づくり
ダックスフンドの子犬を迎える前に、家の中の安全対策も必要です。
- 電気コード類をカバーで保護する: 子犬は何でも噛みたがります。感電事故を防ぐため、コードカバーを取り付けましょう。
- 小さなものを床に置かない: ボタン、クリップ、輪ゴムなどの誤飲リスクがある物を片付けます。
- 段差をなくす: ダックスフンドの子犬にとって階段やソファからの飛び降りは厳禁です。ベビーゲートで階段へのアクセスを制限し、ソファにはスロープを設置するか、そもそも登らせない習慣をつけましょう。
- 有毒な観葉植物を撤去する: ポインセチア、ユリ、ポトスなど、犬に有毒な植物は子犬の手が届かない場所に移すか撤去してください。
迎えてからの1週間|新しい環境への適応
子犬を迎えた初日から1週間は、新しい環境に慣れるための大切な期間です。この時期の接し方が、子犬との信頼関係の土台になります。
初日の過ごし方
迎えた初日は、子犬にとって母犬や兄弟から離れた不安な日です。家族全員が嬉しくてたくさん構いたい気持ちはわかりますが、初日は静かに過ごすことが大切です。
- サークルに入れ、水とフードを用意して、しばらくそっとしておきます
- 子犬が自分からサークルの外に興味を示したら、短時間だけ触れ合いの時間を設けます
- 夜鳴きをしても、鳴くたびに構うと「鳴けば来てくれる」と学習します。心苦しいですが、安全を確認したうえで見守りましょう
最初の1週間のポイント
生活リズムを作る: 食事・トイレ・遊び・睡眠の時間をなるべく一定にします。子犬は1日18〜20時間ほど眠りますので、無理に起こさず十分な睡眠を確保しましょう。
健康チェック: 迎えてから3日以内に動物病院を受診し、健康診断を受けることをおすすめします。便の状態、食欲、元気の有無を毎日観察し、異変があればすぐに獣医師に相談してください。
触れ合いは短時間から: 子犬の体力は限られています。遊びや抱っこは1回10〜15分程度にとどめ、休息の時間をしっかり確保しましょう。
ダックスフンド子犬の食事管理|月齢別ガイド
子犬期の食事は成長の土台です。ダックスフンドは肥満になりやすい犬種のため、子犬期から適切な食事管理の習慣をつけることが重要です。
月齢別の給餌回数と注意点
生後2〜3ヶ月: 1日4回に分けて与えます。子犬用ドライフードをぬるま湯でふやかして与えるのが基本です。まだ消化器官が未発達なため、一度に大量の食事は禁物です。
生後4〜6ヶ月: 1日3回に減らします。徐々にフードをふやかす水分量を減らし、ドライフードに慣らしていきます。この時期は成長期のピークで、体重が急激に増加します。
生後7〜12ヶ月: 1日2〜3回に移行します。生後10ヶ月頃から成犬用フードへの切り替えを検討し始めます。切り替えは7〜10日かけて新しいフードの割合を徐々に増やしていきましょう。
食事量の目安
パッケージに記載された給餌量を基本とし、体重の変化を見ながら調整します。子犬は成長が早いため、2週間に1回は体重を測定してください。肋骨が手で簡単に触れる程度が理想的な体型です。触っても肋骨がわからない場合は太りすぎ、見た目で肋骨が浮いている場合は痩せすぎのサインです。
ダックスフンド専用パピーフード
ダックスフンドの子犬には、犬種専用に設計されたパピーフードが適しています。骨格の発達に必要なカルシウムとリンが適切なバランスで配合されており、脳の発達を促すDHAも含まれています。キブル(粒)の形状もダックスフンドの口に合わせて設計されているため、食べやすさの面でもメリットがあります。

ロイヤルカナン BHN ダックスフンド 子犬用 1.5kg
ダックスフンドの子犬(生後10ヶ月齢まで)専用に開発されたドッグフード。健康的な骨格と関節の発達をサポートするカルシウム・リンバランス、消化性の高いタンパク質、脳の発達を促すDHAを配合。
トイレトレーニング|成功のためのステップ
ダックスフンドのトイレトレーニングは、他の犬種と比較してやや時間がかかることが多いと言われています。これはダックスフンドの頑固な性格と、猟犬としての自立心の強さが関係しています。焦らず、一貫したルールで根気よく取り組みましょう。
基本の手順
ステップ1 - トイレの場所を決める: サークル内にトイレトレーを設置し、トイレの場所を固定します。サークルの半分をトイレ、もう半分を寝床にするレイアウトが基本です。
ステップ2 - タイミングを見極める: 子犬がトイレをしやすいタイミングを把握しましょう。主なタイミングは、起床直後、食事の後(15〜30分後)、遊んだ後、昼寝から目覚めた後です。
ステップ3 - 成功したら褒める: トイレで正しく排泄できたら、すぐに褒めておやつを与えます。「グッド」などの声かけを一貫して使い、正しい行動と報酬を結びつけましょう。
ステップ4 - 失敗しても叱らない: 失敗した場合は、叱らずに静かに片付けます。叱ると「排泄すること自体」を悪いことと学習し、隠れて排泄するようになるリスクがあります。失敗した場所は消臭スプレーで徹底的に匂いを消してください。
トレーニング完了の目安
一般的に、ダックスフンドのトイレトレーニングが完了するまで2〜6ヶ月かかることがあります。生後6ヶ月を過ぎても頻繁に失敗する場合は、サークルの広さやトイレの位置を見直してみてください。成功率が90%以上になってから、徐々に行動範囲を広げていくのが安全です。
社会化の重要性と実践方法
子犬の社会化期(生後3〜16週齢)は、さまざまな環境・人・音・他の動物に慣れさせる最も重要な時期です。この時期の経験が不足すると、成犬になってから恐怖心や攻撃性の問題が出やすくなります。
社会化で経験させるべきこと
人: 男性、女性、子ども、お年寄り、帽子をかぶった人、メガネをかけた人など、さまざまなタイプの人と穏やかに触れ合う機会を作ります。
音: 掃除機、ドライヤー、雷、花火、車の音などを小さい音量から慣らしていきます。YouTubeの環境音動画を小さい音量で流すのも効果的です。
環境: 異なる床の素材(フローリング、タイル、草地、砂利道)、車に乗る体験、動物病院への「楽しいだけ」の訪問(診察なしで、おやつをもらって帰るだけ)なども大切です。
他の犬: ワクチン接種が完了してから、穏やかな性格の成犬や、同月齢の子犬と触れ合わせましょう。パピークラスへの参加もおすすめです。
社会化のポイント
- 無理強いしない: 子犬が怖がっている場合は無理に近づけず、距離を取って観察させます
- ポジティブな経験にする: 新しいものに触れるときは、おやつや褒め言葉と組み合わせて「いい経験」として記憶させます
- 少しずつ段階的に: いきなり大きな刺激を与えるのではなく、小さな刺激から徐々にレベルを上げていきます
ダックスフンド子犬特有の注意点|腰と背骨を守る
ダックスフンドは椎間板ヘルニア(IVDD)のリスクが他犬種の10〜12倍とされています。子犬期から腰を守る生活習慣を身につけることが、将来の健康に直結します。
絶対にやってはいけないこと
階段の昇り降り: ダックスフンドの子犬に階段は厳禁です。脊椎への負担が非常に大きく、若いうちから椎間板にダメージが蓄積します。階段へのアクセスはベビーゲートで確実にブロックしてください。
ソファやベッドからのジャンプ: 高い場所からの飛び降りは、着地時の衝撃が腰に集中します。ソファに乗せる場合はスロープを使い、飛び降りを絶対に許さないしつけを子犬期から行います。
後ろ足だけで立たせる: 「お手」をするときなどに後ろ足だけで立ち上がる姿勢は、腰に大きな負担がかかります。
正しい抱き方
ダックスフンドを抱くときは、必ず胸の下とお尻の下の両方を支え、体が水平になるようにします。片手でぶら下げるように持ち上げると、背骨に負荷がかかり危険です。家族全員がこの抱き方を理解し、実践してください。
床材の対策
フローリングはダックスフンドにとって滑りやすく、腰に負担がかかります。子犬が活動するエリアには、滑り止めマットやカーペットを敷きましょう。
ワクチンスケジュールと健康管理
子犬期のワクチン接種は、致死率の高い感染症から命を守るために不可欠です。一般的なスケジュールは以下のとおりです。
混合ワクチン
- 1回目: 生後6〜8週齢(ブリーダーで接種済みの場合が多い)
- 2回目: 生後10〜12週齢
- 3回目: 生後14〜16週齢
コアワクチン(ジステンパー、パルボウイルス、アデノウイルス)は必ず接種が必要です。ノンコアワクチン(レプトスピラ、パラインフルエンザなど)は、生活環境に応じて獣医師と相談のうえ接種を決めます。
狂犬病ワクチン
日本では生後91日以上の犬は狂犬病予防注射の接種が法律で義務付けられています。市区町村への犬の登録も忘れずに行いましょう。
フィラリア・ノミダニ予防
蚊が媒介するフィラリア症は、予防薬で確実に防げます。予防シーズン(一般的に4〜12月)は毎月の投薬を忘れないようにしましょう。ノミ・ダニの予防も通年で行うことが推奨されます。
定期的な健康チェック
子犬期は月に1回の健診が理想的です。体重測定、便検査、成長の確認を定期的に行い、異常の早期発見に努めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. ダックスフンドの子犬はいつから散歩に連れていけますか?
ワクチンプログラムが完了してから2週間後(生後16〜18週齢頃)が散歩デビューの目安です。それまでは、抱っこして外の環境を見せる「抱っこ散歩」で社会化を進めましょう。最初の散歩は5〜10分程度の短時間から始め、徐々に時間を延ばしていきます。子犬の関節が完成する前の過度な運動は避けてください。
Q. 噛み癖がひどいのですが、どう対処すればいいですか?
子犬の甘噛みは歯の生え替わり(生後4〜6ヶ月)に伴う自然な行動です。噛まれたら「痛い」と低い声で言い、遊びを中断します。代わりに噛んでもいいおもちゃ(噛む専用のトイ)を与え、そちらを噛んだら褒めましょう。決して手で遊ばせず、「手は噛むものではない」と一貫して教えることが大切です。
Q. 子犬がフードを食べない場合はどうしたらいいですか?
迎えたばかりの子犬が食べない場合、まず環境の変化によるストレスが原因として考えられます。フードをぬるま湯でふやかして香りを立たせたり、手から少量ずつ与えてみてください。24時間以上何も食べない場合は低血糖のリスクがあるため、すぐに動物病院を受診してください。特にミニチュアダックスフンドの子犬は体が小さく、低血糖を起こしやすいので注意が必要です。
Q. 留守番はいつからできますか?
短時間の留守番は生後3ヶ月頃から少しずつ練習を始められます。最初は5〜10分から始め、子犬が落ち着いて過ごせたらおやつを与えて褒めます。月齢に1時間を足した時間(3ヶ月齢なら4時間)が留守番の上限の目安です。ただし、子犬期は長時間の留守番は避けるべきであり、どうしても長時間家を空ける場合はペットシッターの利用も検討してください。
まとめ
ダックスフンドの子犬を迎えることは、長い付き合いの始まりです。子犬期の過ごし方、特に適切な環境整備、正しい食事管理、根気強いトイレトレーニング、そして社会化の経験が、成犬になってからの健康と性格に大きく影響します。
何より忘れてはならないのが、ダックスフンド特有の「腰を守る」という視点です。階段やジャンプを避け、正しい抱き方を実践し、滑りにくい床環境を整える。これらの習慣を子犬期から家族全員で徹底することが、愛犬の健康寿命を大きく延ばします。
子犬期は手がかかりますが、この時期に丁寧に向き合うことで築かれる絆は、何物にも代えがたいものです。焦らず、愛犬のペースに合わせて、一歩ずつ成長を見守っていきましょう。




